SaaS選定には、開発の方向性と思想のマッチが重要。フィットしたのはMNTSQだった

SaaS選定には、開発の方向性と思想のマッチが重要。フィットしたのはMNTSQだった

江崎グリコ株式会社

導入の背景

・ナレッジの属人化、効率的なナレッジマネジメントの基盤の不在

・コミュニケーションの複線化と情報散在化の加速

導入の効果

・キーワード検索により、過去の案件に関する検索や共有が容易に

・他部署との連携が円滑に。操作性の高さも全社で評価される

江崎グリコ株式会社は「すこやかな毎日、ゆたかな人生」というパーパスを実現すべく、国内外に多くの拠点を持ちながら事業を展開しています。3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)の菓子や乳製品などの食品のほか、BtoBの食品原料、健康にフォーカスした商品などを取り扱い、「おいしさと健康」をお客さまの良質な暮らしのために提供し続けています。幅広い事業を展開する中で、増え続ける法務業務に対応するため、法務業務におけるナレッジマネジメントの基盤構築と業務フローの効率化を目的として、MNTSQを導入いただきました。

今回は、法務部としての課題や導入時に工夫されたこと、導入後の変化について、法務部の皆さまにお話を伺いました。

<参加者>
法務部 契約グループ グループ長 橋本様
法務部 契約グループ 大塚様
法務部 契約グループ 小林様
法務部 契約グループ 田畑様
※以下、敬称略
※2024年6月末時点の役職です

ナレッジマネジメントの不在とコミュニケーションの複線化、業務量増大が課題に

  • 貴社の事業内容と、法務部の組織体制・業務内容について教えてください。

橋本:
江崎グリコ株式会社は、菓子を中心とする食品の製造販売を行っています。大阪と東京にオフィスがあり、それ以外にも国内外に営業拠点、工場を展開しています。国内外の子会社26社および関連会社3社を含むGlicoグループ連結では従業員約5,400人、売上高約3,300億円の規模です。

法務部門の組織は、国内では「契約グループ」「コンプライアンスグループ」「商標グループ」の3つのグループから構成されており、部門長の法務部長が直接社長にレポートしています。

我々4人が所属する契約グループの主なミッションは、契約関連の業務を中心として対外的な法律関係を適切にコントロールすることです。具体的には契約の審査作成・交渉、M&Aといったプロジェクトへの対応、紛争解決などです。

コンプライアンスグループは、世界中のGlicoグループ全体が法令その他の従うべき規範に従って事業活動を展開できるよう、内部ルールを中心とした仕組みを構築・説明し、モニタリングしています。商標グループは、商標の出願更新や侵害行為があった際の排除に関する業務を行います。

  • 江崎グリコさまの法務部ならではの業務の特徴はありますか?

まず、当社法務部は、海外展開する会社のグローバルヘッドクォーターの法務部ですので、海外法務がそれなりの割合を占めることです。法務機能のない海外現地法人の事業のために法務機能を提供したり、日本の法務担当者と海外在住の法務担当者とが一つのチームを形成して地域単位で法務機能を提供したりしています。また、契約関連の業務についてはフルスコープでサービスを提供しており、相談や審査対応だけではなく、契約書の作成や交渉への同席、社内報告などについても、法務の専門性が必要か判断した上で対応しています。

一般的には、特許や労務、株主総会対応等の機関法務、景品表示法関連の表示チェックなども法務部の所掌範囲に含まれている場合があると思うのですが、当社の場合はこれらの業務については他部門が担当しております。ですので、これらの問題について法務が関与するのは、イレギュラー対応に限られます。全体的にルーティンワークの割合が少なく、イレギュラー対応のような業務の割合が高いのも特徴のひとつかもしれません。

コロナ禍がきっかけとなり情報共有ニーズが顕在化

  • 法務部内でどのような課題があったのか、具体的に教えていただけますか。

大塚:
課題は大きく分けて4つほどありました。1つ目は、ナレッジが法務部で共有されていないという点です。法務部という性質上、職人のように一人ひとりがスキルやノウハウを持って支える側面もあるのですが、属人的にならないようにナレッジを共有していかなければならない点について、課題意識を持っていました。

2つ目は、2020年のコロナ禍のタイミングで、一気に在宅勤務になったことにより、コミュニケーションが取りづらくなったことです。他部署とのコミュニケーションを効率化してオペレーションを組むことを考える上で、本拠地となる情報基盤のツールを構築するといいかもしれないという意識がありました。

橋本:
3つ目として、業務量の継続的な増加が挙げられます。業務効率化や単純作業の削減などオペレーションの見直しによる業務フローの改善を進める中で、システムの導入によって多くの課題を抜本的に解決し、より価値の高い業務に人的リソースを集中させたいと考えるようになりました。

4つ目は、人事部や経営層から、目標設定や評価の定量化や、そのための可視化について要請を受けることが増えてきていたことです。法務部は、その業務の性質上、法的な知見を持つ人でないと評価が難しいなど、もともと評価の定量化になじまない面もあります。チーム全体でも個人でも、業務量や成果の可視化がなかなか進められないという問題意識もありました。

MNTSQのビジョンに共感し、全社に「味方を増やしていく」ことでスムーズな導入へ

  • MNTSQを選んでいただいた経緯についてお聞かせください。

橋本:
先ほどの問題意識をベースに、「ナレッジマネジメントの基盤構築」「業務フローの効率化」の2つを課題として設定し、それを解決するための新たなシステムを探索し始めました。

MNTSQを知ったきっかけは、私がたまたま読んでいた法務向けの雑誌『NBL』(商事法務)の対談記事で、社長の板谷さんが「AIを活用してナレッジを活用可能なものにし、また付加価値のない業務から法務部員を解放することで、法務のエネルギーを付加価値の高いものに集中させ、経営のパートナーとしての法務機能を強化する」というような類のことを言っておられたんですね。そのビジョンに非常に共感しました。

当時のMNTSQがそのような理想をすべて実現できるサービスだったとは思いませんでしたが、SaaS型のサービスは、随時開発がすすめられ機能が拡充されていくものです。開発の方向性と我々の思想がマッチすることも大事だと考え、まず話を聞いてみようと思いました。

また、MNTSQ以外の複数のベンダーから提案を受け、

・備えている機能が上記2つの課題解決に現実的につながるかどうか
・将来の開発の方向性が単なるデジタル化なのか、DX化の実現を目指すのかという考え方の違い
・法務の役割に関する考え方

上記の点について比較、検討を行いました。

その時、ナレッジマネジメントの基盤となる検索において、自然言語の活用で検索性を高めようとしているのは、MNTSQだけだったんですね。その世界観も含めて検討した結果、MNTSQが一番当社の考え方にフィットすると思ったので、選定に至りました。

  • 全社にMNTSQを導入する上で、スムーズに使ってもらうために工夫された点はありましたか?

大塚:
スモールスタートを意識すべきだと考え、まず同じ課題を感じている法務部の中で、MNTSQをナレッジマネジメントの基盤とする形での導入を行いました。もともと魅力的だとは思っていたので、「MNTSQを導入すると便利になるよね」という共通認識の下で進められたと感じています。

実際に案件管理へ展開する際には、全社的に協力を仰がなければならないため、協力してくれそうな部署を事前にピックアップしました。そこで先行して使ってもらいながら意見を吸い上げ、数ヶ月くらい様子を見てから全社へ導入しました。

全社導入にあたっては、説明会をオンライン・オフラインのハイブリッド形式で実施しました。「法務部でバリューが出せます」ということだけではなく、MNTSQの導入で経営層や他部署にもメリットがあると分かってもらえるように説明しました。1回当たり200〜300人を対象に開催し、説明会の動画と資料、利用マニュアルを用意して「分からないことがあれば聞いてください」とフォローする体制も作りました。

橋本:
全社に新しいシステムを導入する際は、どうしても導入する部署のためのシステムだと思われがちなので、社内で「味方を増やしていく」ことがとても大事なんです。ですから、説明会では「MNTSQは全社の業務の効率化をするために導入するものだ」ということを強く押し出しました。

検索機能や操作性の高さが評価ポイントに。グローバルでも活用していきたい

  • 実際にMNTSQを導入いただいた後にどのような手応えや反応があったかについてお聞かせください。

小林:
解決すべき課題の1つ目である「ナレッジマネジメントの基盤構築」の面では、過去の案件に関する検索や共有がしやすくなりました。私が入社して1年目の時にMNTSQが導入されたため、OJTで案件に関する相談をする際にすぐにMNTSQで情報共有ができたので、活用しやすいと感じました。

また、もともとは契約を締結している会社単位でフォルダを作って案件をまとめていたんですが、その会社とどういう契約を結んでいるかが分からないと、フォルダから検索するのが難しかったんです。MNTSQはキーワード検索ができるので、過去の案件を検索するのにすごく便利でした。

2つ目の「業務フローの効率化」に関しては、法務部以外の部署の方からも、以前はご自身で手掛けている案件しか見えなかったのが、MNTSQを使うことで所属部署の他の人がどんな案件を手掛けているのか見えるようになり、お互いの進捗確認や、どういうやりとりをしているのかが見えて便利だというお話を伺いました。

田畑:
メールでやりとりする場合は、1つの案件で何通もメールが飛び交ってしまうこともあるのですが、MNTSQでは案件のスレッドにこれまでの経緯が集約されているため、コミュニケーションのミスが減っているように感じます。また、どこに何を添付したか確認するといったストレスもありません。

橋本:
2023年末の法務業務についての社内アンケート結果でも、他部門から「進捗が分かる、法務部からタイムリーに回答がもらえるようになった」「直感的で使いやすい」「引き継ぎや情報共有が楽」といった声がありました。「法務部で準備したマニュアルを見なくても分かりやすい」「操作性に問題を感じなかった」という話も出ていました。

  • 今後の展望や、リーガルテックに対して期待している点などについてお聞かせいただけますか。

橋本:
生成AIなども活用しつつ標準的な業務を自動化して、法務に関わる人材がより付加価値の高い業務にフォーカスできる環境を作ることをご支援いただければと思っています。現時点で、当社のデータベースは、入力した情報の検索が可能ではありますが、データを別の形で活用するといったことはできていません。意思決定のために、締結済み契約データの活用をもっと進めたいと考えています。

当社はグローバルでも事業を展開していますので、法務業務においてもグローバルで同一水準なサービスを提供したいと考えています。今はMNTSQを国内でしか利用していないのですが、今後海外でも活用していければと考えています。


江崎グリコ株式会社の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

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