
電通総研の変革期を支える法務へ。MNTSQで組織の強化と進化を目指す

株式会社電通総研
・事業拡大に伴い業務量の増加と業務の複雑化
・過去のナレッジが複数システムに分散し、横断での確認が困難
・過去の文例や締結実績を即座に確認でき、法務業務が効率化
・ダッシュボードで案件を可視化し、マネジメントが円滑化
1975年に電通と米国General Electric Company(GE)との合弁会社として設立された電通総研(旧電通国際情報サービス(ISID))は、民間初のTSS(タイムシェアリング・サービス:コンピュータの共同利用サービス)事業を推進しました。その後、インターネットの普及により、世の中やビジネスモデルが急速な変化を遂げる中、いち早く「システムインテグレーター」を標榜し、事業変革とサービスの拡充を図りました。
時代の潮流に合わせて柔軟に変革を実行してきた同社は、長期経営ビジョンである「Vision 2030」の達成に向けて、2024年1月に現在の電通総研に社名を変更。グループ会社の統合などによりシステムインテグレーションに加えてシンクタンクやコンサルティング機能を拡充。企業や社会の変革を包括的に支援し、その先にいる生活者への価値創出を目指すべく3回目の変革期の只中にいます。多方面に事業を拡大し、企業として成長していくなかで、単純な業務効率化ではなく、同社の変革を支える法務部門としての仕組みづくりを目指し、その一環としてMNTSQを導入いただきました。
今回は、MNTSQの選定から導入までを担当されたコーポレート部門の佐藤様、中原様(リモートでのご参加)、山原様の3名に、導入前の課題から導入後どのような変化があったのかお話を伺いました。
<参加者>
コーポレート本部 本部長補佐 兼 ワークライフサポートユニット長 佐藤 数明様
コーポレート部門 コーポレートマネジメントユニット 法務・知的財産部 部長 中原 康宏様
コーポレート部門 コーポレートマネジメントユニット 法務・知的財産部 山原 和馬様
※以下、敬称略
※2024年11月時点での役職です
会社の変革期に合わせ、効率化に留まらない進化を目指す
- まず、電通総研様の法務部門の組織構成を教えていただけますか。
中原:
当社の法務・知的財産部は兼務担当を含めて8名在籍しており、第一・第二・知財の3つのグループに分かれています。国内外全ての契約関連業務を担当しており、各事業部・本部から依頼される契約書のレビュー業務が大半を占めていますね。
レビュー件数は徐々に増えており、現在は年間で約2,400件にものぼります。2024年からはシンクタンクやコンサルティングの機能を拡充してさらに対応業務が増えましたし、今後さらなる事業変革と成長を目指す「Vision 2030」の方針に合わせて、法務・知的財産部の体制強化のため採用活動も進めています。
- 既にかなりの件数を担当されているのですね。グループ会社を含めた企業規模を教えていただけますか。
佐藤:
子会社が14社、関連会社が4社 です。国内に7都市、海外7カ国10都市に拠点を設けており、従業員数としてはグループ全体で4,390名。単体では約2,400名、国内グループ会社で1,700名、海外拠点で300名という割合ですね。
- 事業拡大していくなかで法務部門の業務量が増えていくとなると様々な課題が出てくると思います。MNTSQのようなリーガルテック導入を考えられたのは、どのようなきっかけからでしょうか。
佐藤:
やはり、業務量の増加と複雑化が背景にあります。「Vision 2030」は、多様な社会課題に向き合うために事業を多角化・拡大していく方針を掲げています。メイン事業だったシステムインテグレーションに加え、シンクタンクやコンサル機能などが拡充されるなかで、ビジネス形態はさらに複雑化・高度化していきます。その流れを受けて、法務部門としては単純な業務効率化だけできれば良いわけではなく、変化していく企業を下支えできる体制になるべきだと考えました。その体制強化の手段の1つとして、CLMをはじめとしたリーガルテックの導入を検討し始めたのです。
- MNTSQ導入前はどのようなシステムを入れられていたのでしょうか。
中原:
契約書のレビュー時に使用する事業部門とのコミュニケーションツールや締結済み契約書を管理するための文書管理システムなどは導入していました。ただ、工程ごとにシステムが分かれていて連携が困難でした。過去の契約案件のナレッジは各システムには蓄積されているものの、横断での確認はできませんでした。
佐藤:
複数のシステムに分散している状態を解消し、契約業務を一元管理できるシステムがないか調べていたのですが、ちょうどCLMが注目され始めた時期だったのもあり、まずはCLM関連ツールの調査を山原に依頼しました。
山原:
佐藤からの依頼を受け、国内で流通しているほぼ全てのCLMを調査しました。数社からプレゼンしていただき、最終的にMNTSQに決定しました。
導入の決め手は、「機能要件」とプロダクトに込められた「熱意」
- MNTSQを選んでいただくまでに、どのような検討プロセスを踏まれたのでしょうか。
山原:
まず、機能比較表を作って当社の業務や必要要件に適合するのかを確認しました。その段階で、MNTSQともう一社が要件を満たしていました。
私としては、ナレッジが自動的に蓄積される仕組みでないと持続的に運用できないと懸念していたのですが、MNTSQは、日々の業務を行うなかで自動的にナレッジベースが蓄積できる仕組みになっていることが魅力的でした。
中原:
システム的なところでいくと、社内承認のためのワークフローシステムともスムーズに連携できるという点でもMNTSQに分がありましたね。
また、長島・大野・常松法律事務所の監修が入っているので信頼が持てました。
山原:
あとは将来性に期待が持てたのも大きいですね。AIを用いた契約データ解析などの一歩先を見据えた機能開発を進めている点や、自分たちの意見を反映してもらいながらMNTSQというプロダクトを一緒に成長させていけそうだなと感じられたのは良かったです。
佐藤:
プロダクトへの熱の込もり方が違いますよね。板谷さん(MNTSQ Founder / CEO 板谷 隆平)のお話を聞いていると、単なる管理ツールを提供しているわけではない、このプロダクトで世の中を変えていくという熱い思いが込められている製品だと感じましたね。
山原:
営業担当の方に、ただツールを導入するだけでなく私たち法務部門の成長に力を貸してほしいという話をしたところ、ぜひにと前のめりに話していただけたことも良かったです。ツールベンダーではなく、ビジネスパートナーとして一緒に仕事をしていきたいと感じました。営業担当や導入コンサルタントの方には、私たちのビジネスモデルや法務の仕組みについて理解していただき、私はMNTSQの理解を深めたうえで、対等にディスカッションし、一緒に当社の業務を良くしていくための仲間としてご一緒できているのが嬉しいです。
16万件のデータ移行を完遂。社内からの反発はなくスムーズに運用開始
- MNTSQの導入は、主に佐藤さん、中原さん、山原さんの3名が担当されたのでしょうか。
佐藤:
はい、基本はこの3名で進めました。私は法務・知的財産部だけでなく、社内DXを推進する立場で、様々な部署のDX関連課題に携わっています。そのため、実際の指揮は中原と山原が担当し、社内承認が必要なプロセスに自分が入りました。
山原:
導入時は、業務にMNTSQを組み込み、自動的に案件ごとのナレッジが溜まっていく仕組みにする必要があると考えていたので、案件管理と契約管理を同時にリリースすることにこだわりました。
- 導入する際、どのような点が一番大変でしたか。
中原:
既存システムに登録されていた約16万件の契約データをMNTSQに移行したところですね。既存システム側から、16万件のデータを出力するのに費用が発生すると伺い、想定外の費用が発生するところでした。マクロを組むのが得意な社員をアサインしたデータ移行のチームを組み、一部を内製化することで、それほどの費用を発生させることなくなんとか完了できました。
山原:
システムを導入する時点で解約する際のことも考えておかないといけないものだと、後学になりましたね。
- 新たなシステムの導入にあたり、社内からの抵抗はありましたか。
佐藤:
いえ、ほとんどありませんでしたね。まずは各事業部の営業支援を担当する事業管理のメンバーに、このようなシステムを入れたいと地ならし的に伝えていきました。その方たちが契約周りの業務を把握しているので事前にコミュニケーションをとっておいたほうがいいなと。社内説明会も数回に分けて行いましたが、そこで否定的な意見は出ませんでした。
中原:
そうですね、想定したよりも抵抗感はなかったように思います。抵抗がないのは、直前まで使っていたシステムに構造的なデメリットがあったのも大きいと思います。これまでは複数のシステムを併用していたので、工程ごとに使うシステムを切り替えなくてはならないことや複数のIDとパスワードを管理しなければいけない不便さがありました。それらの機能をMNTSQに統合して一箇所にログインするだけで完結できるので、ほとんどの方にとって便利になったと感じてもらえているようです。
山原:
やはり、新しいシステムを導入する際は運用面でのメリットが前システムを上回っていないと受け入れてもらえない可能性が高いですからね。事業部門向けの説明会では「事業部門の手間は増やさず、かつ法務・知的財産部からの回答が早くなります」とはっきり伝えていました。
- お話を聞いていると、現場担当者の皆様の反応を確認されながら着実に導入を進められた印象です。
山原:
そうですね。トップダウンで現場の意見を聞かずに進めたわけではなく、現場の意見を確認しながら丁寧に進められたと思います。導入して数ヶ月経ちますが、業務に組み込まれて順調に稼働していますし、事業部門の方からは「使いやすい」というお声もいただいています。
1つのプラットフォームに統合したことで、法務部門・事業部門双方にとって使いやすい環境に
- 導入後、どのような変化がありましたか。
山原:
契約書の審査をする際に必要な関連情報を探す時間をできるかぎり短縮するというのが期待値としてありましたが、既に実現できています。1つのプラットフォームの中で過去の文例がすぐに探せる、レビューしている企業の過去の締結実績がボタン1つで確認できるのは期待通りで、かなり業務効率化されていると感じています。
中原:
マネジメントの面でも、ダッシュボードで自分や他のメンバーが抱えている案件が可視化されて大変助かっています。法務側には明らかに導入メリットが出ている一方で、事業部側にもさらなるメリットを提供していきたいなと。
今後、法務レビュー依頼の起票を効率化するようなサポート機能が実装されれば、事業部側にもよりメリットを実感してもらえるようになると思います。
- 契約書の登録業務は別の部署が担当されているとお伺いしました。そちらでの導入はいかがでしたか。
山原:
契約書を社内システムに登録する業務に関しては、グループ会社の事務業務を担う電通総研ブライトと、社内のワークサポート部署にて、障がい者の方々を中心に担ってもらっています。
どちらの組織でもスムーズにMNTSQへ移行できたと思います。
実際の作業をする方々が登録時の判断に迷わないよう、細かい手順を記載した操作マニュアルを準備していたのと、時間をかけて立ち上げたのが功を奏したと思います。MNTSQ導入で登録業務が効率的になり、結果的に仕事がやりやすくなっていると思います。
- 効率化が進みすぎた先に、お任せする仕事量に影響が出てしまうという懸念はあるのでしょうか。
佐藤:
今後、グループ会社にも順次MNTSQの導入を拡大していくので、むしろ業務量は増えていきますし、効率化できて仕事量が減れば、その分また新たな業務をお任せできるので、良い循環が生まれると思います。
単純化できる部分はツールに任せ、法務部員はより難しい問題に集中して向き合える環境を目指す
- 最後に、法務・知的財産部として描いている今後の展望を教えていただけますか。
山原:
ナレッジを自動で蓄積していく仕組みづくりはできたので、次はスムーズに活用できるようにするための環境構築を進めようとしています。ナレッジを活用して法務・知的財産部員をどう成長させていくのか、事業部門の法務関連リテラシーをどう上げていくのかを意識しなければいけません。便利なものを使いつつ、使う側のリテラシーをいかに上げていくかは知恵の絞りどころですね。
中原:
山原の言う通りで、ツール導入により業務効率化が進んでいますが、法務業務のクオリティ担保は結局人にかかっています。ツールが便利だからといって、業務をよりよくするために思考する機会が失われるのは本末転倒です。法務部門の人材教育とツールの利便性を両立したうえで、法務部門を発展させていきたいですね。MNTSQに対しての要望や期待もどんどん膨らんでいる一方で、私たち法務部門も同時に進化しなければいけない。両社で協力し合ってともに成長していきたいですね。
佐藤:
個人的には、今後はAIのさらなる活用に期待しています。法務部門の人間は自分自身のスキル向上や、より難しい問題への対応に集中して、そうではない単純化できる部分はAIをうまく活用して効率的に対処できるようになるのが理想ですね。板谷さんも同じ話をしていて、すごく共感しました。
電通総研の皆様、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。
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